千羽すぴか保育園について

社会福祉法人ゆにわ会

『日本書紀』にある斎庭の神勅(ゆにわのしんちょく)に由来します。

「吾が高天原に所御(きこしめ)す斎庭(ゆにわ)の穂(いなのほ)を以て、また吾が児に御(まか)せまつるべし」。(天照大神は、これから新しい国造りに挑戦する孫に一束の稲を渡した。)

我が国では、稲作文化を基礎として発展し、豊かな国土(瑞穂の国)を形成してきました。稲作を中心にコミュニティが形成され、老若男女問わず役割が与えられ、それを実践することでコミュティ全体での向上を実現してきました。同時に作物を収穫することで、自然を畏敬信愛し、祭を通じて目に見えない世界に対し感謝する気持ちを表現し、言葉により感謝の気持ちや喜びを伝えてきました。

我が国では、社会構造の変化(グローバル化・科学技術の進歩・少子高齢化・環境の変化など)にともない、課題を見つけ解決する力、表現する力、創造する力などがこれからの教育には必要とされています。これは、我が国のみならず、持続可能でより良い世界を目指すという世界共通の目標でもあります。この目標を実現するためには、従来の価値観を打破するような尖った才能を磨くことが必要と考えます。老若男女すべての人が知恵を出し合い、課題を見つけ解決し、喜びを分かち合うことで「生命を輝かせ、人生を充実させる」ことを私たちは目指します。

斎庭の神勅で登場する稲(いね)とは、命の根と言われます。稲は大地に根付き、多くの生命を誕生させました。0歳の乳児から、100歳の高齢者、妊婦、障がい者を含む全ての人には役割が与えれています。この崇高な役割を私たちは尊重し、新しい価値を常に創造してまいります。

千羽すぴか保育園

千羽すぴか保育園 ロゴ

農耕の女神とされるおとめ座に由来します。スピカとは、おとめ座の恒星です。

スピカとは、おとめ座の持つ穀物を表し、ギリシャ語の穂先を表す「Σταχυς」が語源とされ、麦穂星とも言われます。また、「Spike」と同根の語源とされ、尖ったものも意味します。

幼児期は、子ども自らがやりたい、やってみたいことなど様々な経験をさせて、良い刺激を与えることが大切です。子どもが伸びるための環境と遊びの保証が保育であると考えます。自主的に遊ぶ中で試行錯誤を繰り返し、「自分でできた」という自信が持てるよう子どもたちを見守ってまいります。認めてもらえることで、子どもたちには素直な気持ちが芽生え、その繰り返しで子どもたちの自己肯定感が育っていきます。

千羽すぴか保育園では、子どもの生命が輝き、子どもの人生が充実することを目指します。子どもの主体性を尊重し、新しいことに挑戦できる尖った才能を育成します。

千羽すぴか保育園 目指す姿

子どもの生命を輝かせ
子どもの人生を充実させる保育園

園舎の設計思想

ここ千羽にいたるまで、いくつもの土地を二年ほど回ってきました。
初めて千羽を訪れた時、そこには山、風、水、鳥、イノシシといった古き良き田舎が残る風景がありました。掛川市内地からも近く、千羽IC降りてすぐという好立地にも関わらず、ぽっかりとその風景は残されていました。

そして、敷地面積は13000平米(テニスコートが50面!)を超える大きさです。
これはもう敷地というよりは風景です。
そこで、建築自体は最小限に抑えて、この風景がそのまま遊び場にできたらどんなに楽しいことかと考え、設計に臨みました。

スズキアーキテクツ(株)
一級建築士 鈴木克哉

まず平面図としては廊下等を無くし、遊戯室を中心に建物全体をギュッと圧縮し、アクティビティが外にあふれ出していくような構成にしています。
圧縮した分の余剰は、全て屋外になっています。
この建築を拠点に、風景全体が遊び場になるよう、どの部屋からも外に飛び出していけるようになっています。
その風景には雨水や鳥やヤギ、イノシシ、さらには地域の方々も含まれます。
農作業体験や山登り、土いじり、水遊び、祭、収穫、あらゆる遊びで学びます。

次に、従来の「密室化された保育室」といった概念を解体する工夫をしました。
大人と子供では身体スケール、特に視点の高さが全く異なるため、保育園には大人目線の平面図、子供目線の平面図というものが実は存在します。
大人の平面図では「見通しのよさ」「快適な温湿度」「子供の手が届かない部分が欲しい」「入園人数によって大きさを変えたい」といった実務的な要求があります。
対して子供の平面図で要求されるのは「集中できる環境」「体を動かしたくなる空間」「自主性を磨ける環境」といったものです。
これらの異なる平面図を同時に満たすため、ほとんどの壁を無くしてしまい、高さ約1mの家具で仕切っています。
こうすることで、大人の視点からは園全体が見渡せ、子供の視点からは部屋ができ、従来の密室化された保育室から解放されたのではないかと考えています。

建築をギュッと圧縮し、壁も無くしていくと、無駄がどんどんそぎ落とされ、生命体のような合理性をもち始めてきます。
この建築を生命体として設計し始めると、また違った視点で色々と見えてくるものがあり、発見が多かったです。
明らかに、この建築全体に血液を流している心臓部はプレイルーム(遊戯室)です。プレイルームを中心に血液は巡り、直接隣り合う保育室は翼・手・足として機能しています。弁(家具・建具)は自由に働き、あらゆる活動に適した形でサポートしていきます。
骨となる柱・梁は全て無垢の木で、無駄のない合理的な架構がそのまま目視できるので、木育のみならず、物理・力学が自然と学べるのではないかと思います。
広いエントランス(ピロティ)は建築の顔であり、室内と室外の行き来において重要な要素になっています。目となる職員室からは全体が眺められ、脳を司る理事長室からは次々に新しい発想が出されています。
通常は裏方に回る厨房も、あえて最も目立つエントランスの隣でガラス張りになっています。これはほとんどの生命の顔に口があるのと同じです。生命がエネルギーを取り入れていく過程が可視化され、同時にエントランスのキッズキッチンで園児たちも調理します。これは、食育が人間の営みにおいて、とても重要だと考えての配置になっています。

そしてこの建築は、実際に園児が動き回ることによって生き生きとした血が通います。血が通っていく時、この建築自体がまた園庭全体の心臓部となっていくことでしょう。そして敷地全体、さらには千羽地域の心臓部として、地域全体に血が通っていけたらと考えています。